たおやめぶり
「文学」の枠を超えて
2013年06月26日 09:44本日以降、仕事が忙しくなり、当面更新できませんので敢て「文学」の枠を超えた内容を掲載いたします。
1 皇族と人権
天皇、皇族の人権は否定されるという見解が有力ですし、それはそれ相応の理由があります。
しかし、上記の方々の人権享有主体性自体は肯定されるが、その特殊な地位に鑑み、その内容の一部が否定されたり、制限されたるするという見解も有力で、この立場に親和的な下級審裁判例もあります。
私も、考え方としては、後者をとるべきだと思います。
仮に前者の考え方によっても、皇族の方々の名誉権やプライヴァシー権は一定の限度で保護されてしかるべきです。
不敬罪規定の削除と引き換えに、刑法232条2項がおかれましたが、この内閣総理大臣による告訴は先例がなく、機能していません。
これでは、特定の皇族の方々のみを俗悪メディアのバッシングに曝すことが、千代田官僚の匙加減如何で可能になってしまいます。
現にそのような事態が生じているように見受けられます。
2 一部皇族の憲法尊重擁護義務順守に関する疑問
(1)明文のある(憲法99条)「天皇又は摂政」だけでなく、皇族方も、憲法尊重擁護義務を負っていると考えるのが、通常の理解です。
また、旧憲法、旧典範の皇室自律主義を廃し、皇位継承に関する事項も国権の最高機関(憲法41条)である国会が議決した「皇室典範」という法律(異説もありますが。)で定めることとした憲法2条は、立憲主義の根幹ともいえます。
成文憲法典のない英国でも、議会が国王から王位継承者選択権や指名権を剥奪したのが、立憲主義の出発点です。
ですから、橋本内閣時代から慎重に準備・検討された皇室典範改正案の国会提出寸前に不可解な懐妊劇を演じた特定皇族は信用できないのです(下記のように、寬仁親王殿下のお振舞いの一部も疑問。)。
このような、立憲主義および国家の根幹にかかわる法律案の提出前には、皇族のリプロダクションの自由は制限されてしかるべきであり、良識ある皇族方であれば「自制」遊ばされるでしょう。ところが、このような行為が賛美の対象となり、他方で、東宮ご一家が異常なバッシングに曝されています。
これは異常です。
(2)以上の理は、天皇・皇族の人権否定論からも正当化できます。近時の有力説によれば、「制度体保障がなされた以上は、憲法典が存在する限り、その身分的特権は保証される。『法人の人権』論と同じく、元来市民的法治国の観念には違背しているのだとしても。ただしそれは、普遍主義的な『人権』の論理ではなく、憲法律レヴェルにおいて飛び地のように保存された『身分』『特権』の論理であって、その反面として、かかる特権の故に身分的義務が伴う。そうした義務から解放されるために、『人権』を援用することは論理的に不可能である。」(石川健治著『自由と特権の距離』[増補版]日本評論社 2007年 236頁)と主張されています。
すなわち、「殿下」の敬称を受け(典範23条2項)、皇室用財産を無償にて邸宅用に提供され(国有財産法3条2項3号)、数千万を超える皇族費を無税で支給され(皇室経済法、同施行法、所得税法)、身辺警護、高度医療等の諸「特権」保障されている人物に、一般国民と同じ「リプロダクションの自由」(憲法13条後段)は保証されません。
単なる「マイホームパパ」とはおよそ次元が違う話なのです。まして、少子化問題などおよそ無関係です。
(3)なお、一部の「東宮さまに同情的なグループ」(東宮さまをお慕いする方々のスタンスは各人各様なので、こういうラベリングは適切ではないですが。)には、「皇室自律主義」の部分的復活を支持していらっしゃる方もおいでですが、そうした考え方には同調できません。ナイーブに過ぎるように思います。
あくまでも、君主も含めて、公権力の側にある人間の行動を厳格に規律することにこそ近代立憲主義の本質があるわけですから。
「今上陛下や皇太子殿下は、素晴らしい方だから、ある程度お任せしても大丈夫。」的な発想は危険です。
個々の天皇や皇族の人格が信用できるかとかそういう問題ではなく、公権力の側にある人間の行動を主権者たる国民が縛るという考え方が重要です。
様々な歴史の教訓が教えるように、人間は弱いのです。長期間権力や官僚機構と密接につながっていると、その人自身も徐々に変わってゆくことが多いのです。
立憲主義の根底には、「人間不信」があります。そして、歴史を直視する限り、その発想は間違っていません。
3 寬仁親王殿下に関連して
既に薨去後、一年を経過し、正式に同親王家は廃されることになったから申し上げますが、同親王の政治的発言はもっと問題視されてしかるべきでした。
彼にはいろいろな風評がありますが、故人を論難するのは好ましいことではありませんので、それらの点には敢えて触れません。
また、お名前は出しませんが、御長女の政治的発言も何とかなりませんかね。皇族でありながら、大新聞で「旧宮家復帰」を支持するかのような発言をなさったり、また、別の機会には「女性宮家推進」ともとれる発言をなさる等、率直に申し上げて、そのご見識を疑います。
現在ではVOICEの「豪華連載」陣のお一人として、竹田某氏や山内昌之氏らとともに、同誌に連載をお持ちですが、如何なものかと存じます。
仮に、今の皇室に不満があるなら、皇籍を離脱なさったらいかがでしょうか(現行典範11条1項)?
もっとも、彼女にそれだけの覚悟があるとは思えませんがね。結局は甘えているだけなんですよ。私の目にはそう映りますね。
4 お詫び
今回は激越な調子になりましたが、これも皇室のことを真剣に案じているからです。私利私欲はもとより、特定皇族が好きとか嫌いとかそういう軽い理由から書いている訳ではありません。
「国民主権原理」と緊張関係にある「皇室制度」を21世紀も御守りしたいから、僭越を承知で敢えて苦言を呈しているだけです。私情はありません。
ご不快にお感じの読者の方もおいででしょうが、お立場こそ違え、皇室に対する尊崇の念に偽りはございません。どうか皇家に対する忠誠心だけは疑わないで頂きたいと存じます。
仕事の関係で当面更新できませんが、これで失礼いたします。
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