たおやめぶり


大正天皇と漢詩。

2013年06月16日 09:35

日本文学を語る際に、皇室と文学との関係は決して切り離せません。

近年、特に戦後は、皇室と和歌の関係ばかりが強調されるようになってきておりますが、江戸以前には俳諧を好まれた天皇陛下もおいででしたし、後光明天皇はじめ漢籍に明るい名君も数多くおいででした。

近代以降も、大正天皇の漢詩は素晴らしいです。

「大正天皇御製詩集」明徳出版社 新版2000年 初版1980年も出版されています。

個人的には「西瓜」の御作が好きですが。以下に、やや異色ともいえる詩を引用させていただきます。

政治的背景など感じさせない、日本漢詩の傑作のひとつです。

 

葉山南園与 韓国皇太子同看梅

 

 

 不管春寒飛雪斜 

 喜君来訪暫停車

 葉山歓会興何尽 

 共賞園梅幾樹花

大正天皇は、男系男子主義の旧憲法、旧典範下において、践祚・即位なさらざるを得ず、そのご心労もあり、心身を病まれました(御拝診書にも『御脳症あらせられ』と明記されています。)、これほど英邁な方でいらっしゃいながら、天皇としての過大なご負担が、心身をむしばまれたのでございましょう。おいたわしい限りでございます。

現在、「男系男子主義堅持。」が喧しく、甚だしきは「旧宮家復帰論」までささやかれておりますが、このような主張を強行に唱えられる方々は、生来、ご病弱であらせられたにもかかわらず、明治大帝の御子は、大正天皇以外は、内親王殿下しか成人されなかったため、皇統をお継ぎにならざるを得なかった、大正天皇の御苦悩に少しでも思いを馳せたことがあるのでしょうか?極めて疑問です。

成熟した立憲君主制諸国である、西欧(英国含む)や北欧では、既に「男女を問わない直系第一子優先主義」に王位継承法を改正している事実にいつまで目をつむろうというのでしょうか?

スウェーデンに至っては、次代と次々代の王は「女王」となることが現時点において、確定しています。

—————

戻る