たおやめぶり


誤解されている太宰。

2013年06月15日 23:59

よく知られているように、太宰治は、青年時代にマルクス主義系非合法活動に従事していた過去があります。

でも、「駆け込み訴へ」で、マルクス主義非合法活動からの離反を、淀みのない口述筆記で表明した太宰はその後も、皇室への畏敬の情を抱きつづけます。

終戦直後の昭和21年1月25日堤重久宛書簡には、

一、天皇は倫理の儀表として之を支持せよ。恋い慕う対象なければ、倫理は宙に迷うおそれあり

という記述がございます。

これは、司馬光の「天子の務めは『礼』を行うことにある。」旨の論評(『資治通鑑』威烈王)とも通じるところがり、極めて興味深いです。

また、今日の日本の倫理的、道徳的頽廃を予見していたかのごとき、鋭い目に敬服せざるを得ません。

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