「草枕」を巡って。
夏目 漱石に「草枕」という傑作があります。岩波文庫のものが比較的入手しやすいかも。
今回はそれについて少し思いつくことを書きます。
ひところ「必読書150」だの「東大生が新入生にすすめる100冊」だのがもてはやされた時期がありましたが、どちらからも選ばれてませんでした。
最近は、某名門高校の著名教師が「銀の匙」を授業で用いたとやらで、田舎の本屋にも(返本不可で有名な)岩波文庫の「銀の匙」が置かれてます。
なんで、こう日本人は「権威」「看板」「メディア」の御威光に無批判に従うのでしょうか?
自分の読みたい本くらい自分で決めても良いのでは?
「草枕」に話を戻します。
後になって、グルードが「草枕」を愛読していたことや、スーザン・ソンタグが漱石を高く評価していたことを知り、さすがにいいセンスしてるなと感心しました。
誤解してもらっては困るのは、「欧米芸術家や文化人」の権威を持ち出しているのではないということです。
私はグルードよりもリヒテルの方がずっと好きだし、スーザン・ソンタグはむしろ嫌いです。
ただ、「草枕」という文芸作品や「夏目漱石」という作家に対する評価が、彼・彼女らと一致したというだけの話です。
言いたいことは、「もっと自分の頭でものを考えようよ。」ということです。
旧ソ連の工作員により明らかになった「ミトロヒン文書」によれば、対日工作では「大手新聞社を使っての日本国内の世論操作は『極めて容易であった。』」そうです。
実に頷ける話です。ちなみに「産経新聞」内の協力者は優秀だったらしいですよ。
同じことを、時の日本政府や米国が全くやってないと考えるのは馬鹿げているのではないでしょうか?
もっと自分でものを見て、自分の頭でものを考えましょうよ。なんのために、英語やフランス語を勉強しているんですか?受験や昇進試験、教養のひけらかしのためですか?それでは意味がないでしょう。せめて世界の主要紙の動向くらいには目を通しましょうよ。
なんですって?うちは朝日と日経双方とってるから大丈夫?朝日だけでなく、産経も読んでるから問題ない?
そういう態度の方って意外と多いですよね。でもこんな言葉もありますよ。
「新聞を何部も買い込んで記事の確実性が増したと思っている男」(ヴィトゲンシュタイン)
あと、読売は最大部数だから何となく(この『何となく』が重要。)安心というような声も聞きます。
でも、商業誌であの部数になると、多方面に目が向きすぎてなかなか「本音」なんて言えませんよ。
外国人記者クラブかどこかで、読売の名物社長が「読売新聞」の発行部数を誇った際、ある外国人ジャーナリストが以下のようにつぶやいたらしいです(真偽の保証はしませんが、言い得て妙な表現だと思います。)。
「その部数では『プラウダ』と変わりない。もうメディアじゃない。」
しつこいですが、最後にもう一度だけいいます。読む本も、投票する候補者や政党も自分の目でしっかり確かめ、自分でよくよく考えて、自分の責任で決めましょう。自分の頭でものを考えましょう。
以上です。